レミゼラブル ビクトル・ユーゴー 抄訳

はい、こんにちは。
今回は、「レミゼラブル」の原作について、少し語りたいと思います。
この原作の完訳版を、ミュージカル「レミゼラブル」ファンでも全部通して読む人は少ないと思う。とにかく読むには体力がいる。ミュージカル「レミゼ」には出てこない話が多いですからね。
じゃあ、抄訳版だと何がいいかということになります。これは、その人が普段どれぐらい小説を読むかにも左右されますが、毎週1冊小説を読んでいる方なら、角川文庫の永山篤一訳をお勧めします。
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これは、ユーゴーの長大な原作をダイジェスト版に訳した英語版を日本語に訳したものです。つまり英語からの重訳なんですが、日本語完訳も参考にしたと書いてある。僕は「ベンジャミンバトン 数奇な人生」を持っていますが、これが永山訳で、この人は英語の翻訳家なんでしょう。

この訳のいいところは、名前がミュージカル版、つまり日本で一番通用しているカタカナの名前を使っているところです。作品によってマリユスだったり、アンジョールだったりするじゃないですか?そういうのは、翻訳だから当たり前なんですが、ここでは今やスタンダード化した東宝ミュージカル版と同じカタカナになっています。発音の細かな違いは慣れると気にならないが、通勤電車で読むには、慣れるまでは感情移入しにくい原因となる。

この角川版は2冊にまとめられて、重要なエピソードはだいたい網羅されています。カットされたのは、こまかい時代背景の説明とかですね。もしユーゴーの名前を伏せて現在の日本の文学賞の選考会に出されれば、「ここは要らない」と、批判されるでしょう。
そういう贅肉というのか、時代背景を細かく描いた部分をカットしたのが、この角川版です。アメリカ人が取捨選択しているので、ナポレオン関係の説明はかなりカットされている。
今まで映像化された作品の中で細かいエピソードを再現したのは、フランスのTF1の連続ドラマ版(ジェラールドパルデュー主演)と、アニメの「少女コゼット」ですが、その二つで使われた原作のエピソードはほぼ載っている。文章も読み易いです。完訳版の半分弱ぐらいの量ですから、細かく言えば「あれがカットされている」という部分がありますが、完訳は「戦争と平和」と同じぐらいはハードルが高いので、まず角川版を読んでから完訳に挑んでほしい。

はぶかれたエピソードは、例えばサンプリス修道女の話です。この人は「少女コゼット」では、かなり重要なキャラですね。
あとトロミエスの話もカットされています。トロミエスと言っても多くの人はわからないでしょう。「ああ、それは嚥下障害のある人が使う粉ね」という人もいるかもしれない。それは「とろみアップ・エース」です。
トロミエスというのは、ファンティーヌの恋人。つまりコゼットの実父です。ソルボンヌの学生で、ファンティーヌと遊びのセックスをした。おそらく何度も。それで、卒業後いきなり「さよなら」の手紙だけ置いて、妊娠のことは知らず、地方に帰ります。
仏のテレビドラマ版では出てきます。原作より、すごいひどい男です。普通の映像化作品ではカットされています。
あと、ジャンヴァルジャンが棺桶の中に入れられて埋められてしまうというエピソードも省かれている。これは「少女コゼット」では印象的なエピソードです。そういう引田天功みたいな場面があったとは知らない人もいるでしょうが。修道院の時の話です。

普段小説をあまり読まない、東宝版「レミゼ」を観て、原作も押さえておきたいという人には、岩波少年文庫版をお勧めします。
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これは上下2巻ですが、そんなに長くない。多分長さとしては完訳版の2割ぐらいしかないでしょう。これは上下合わせて4時間ぐらいで読めるので、移動の新幹線で読むにはちょうどいい長さです。角川版より短いですが、角川にないエピソードも入っていたりする。この本のいいところは、挿絵が原書のものを使っているところですね。これは岩波文庫の完訳版も同様ですが、その当時の雰囲気を醸し出すのに成功しています。それでちょっと訳が古い。

図書館で借りるなら福音館の古典童話シリーズがいいと思います。
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これは字も大きいし読み易い。このシリーズは図書館の児童書コーナーに置いていますが、完訳版で挫折した人は、これで基本的な流れは把握できます。このシリーズはハードカバーだし挿絵が良いので気に入っています。小学校高学年から、大人まで読めます。質感もあるし、昔はこういう叢書は中流の家はみな本棚に飾ってましたね。これ上下2冊買うと5000円ぐらいすると思います。
うちには、このシリーズの「ハイジ」がありまして、僕の妻の愛読書です。「ハイジ」はもちろん完訳です。妻の幼少時からの愛読書でつらいときはこの本を読み返しています。高畑勲のアニメ版は、僕と知り合ってから見たらしいです。





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