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はい、「ローリングストーン名盤500」は、今までビートルズとストーンズしか書いてきませんでしたが、3月はボブディラン月間で、ディランのアルバムについて書いていきたいと思います。ディランはこの500枚の中に10枚のアルバムをエントリーしていまして、ほぼビートルズやストーンズと同じ枚数を送り込んでいます。ポップミュージック史上で最重要なミュージシャンです。僕はディランはファンではないが、重要なアルバムはそれなりに聴いています。 今回取り上げるのは9位「ブロンド・オン・ブロンド」です。1966年5月に発売されました。日本では当初「雨の日の女」と翌年に「ブロンド・オン・ブロンド」として別々のアルバムとして発売されたそうだ。タイトルの意味はよくわかりません。「ブロンド女性の上にブロンド女性」という感じですね。ディランは当時モテモテだったから二股かけてたのでしょう。その告白がこのタイトルではないか。 このアルバムは僕が高校の時に友人が2枚組のLPを持っていたので借りて聴いたのが最初です。そのころ、つまり80年ごろ、僕はポールガンバッチーニのロックのベストアルバムの本を持っていた。今も実家に帰れば押し入れに入っているはずだ。それは英米の評論家にアンケートをとったものです。そのベストテンにディランの「追憶のハイウェイ61」と「ブロンドオンブロンド」が入っていた。ビートルズは4枚でストーンズも2枚はいっていた。後の2枚は「ボーントゥラン」と「アストラルウィークス」だったと思う。僕の友人はそのベストテンアルバムを全部持っていたのではないかな。勉強熱心ですね。 この作品は、前にも書きましたが2枚組のLPが1枚のCDに収められていてだいぶお買い得だと思います。アナログ盤はかなりの大作感がありましたが、CDになっちゃうとスケールは小さくなった気がします。このアルバムはジャケットもいいし、アナログで持っておきたいアルバムですね。 1.雨の日の女 - Rainy Day Women #12 & 35 – 4:36 2.プレッジング・マイ・タイム - Pledging My Time – 3:50 3.ジョアンナのヴィジョン - Visions of Johanna – 7:33 4.スーナー・オア・レイター - en:One of Us Must Know (Sooner or Later) – 4:54 5.アイ・ウォント・ユー - I Want You – 3:07 6.メンフィス・ブルース・アゲイン - Stuck Inside of Mobile with the Memphis Blues Again – 7:05 7.ヒョウ皮のふちなし帽 - Leopard-Skin Pill-Box Hat – 3:58 8.女の如く - Just Like a Woman – 4:52 9.我が道を行く - Most Likely You Go Your Way and I'll Go Mine – 3:30 10.時にはアキレスのように - Temporary Like Achilles – 5:02 11.アブソリュートリー・スイート・マリー - Absolutely Sweet Marie – 4:57 12.フォース・タイム・アラウンド - 4th Time Around – 4:35 135人の信者達 - Obviously 5 Believers – 3:35 14.ローランドの悲しい目の乙女 - Sad Eyed Lady of the Lowlands – 11:23 1曲目「雨の日の女」。これは素晴らしくいい加減な曲ですね。笑いながら歌っています。これ他のヴァージョンもあるのかな?stoned というのは、ブライアンジョーンズの伝記映画の時も書きましたが、「麻薬でらりった」という意味がありまして、その関係でいろんな放送局で放送禁止になった。これにはいろいろ意味があって一つは新約聖書のヨハネ福音のところにa woman like this should be stoned to deathという項目があります。これは不倫をした女性が石打の刑にされそうになる話ですね。ディランが歌っているのは「人は皆石打の刑にあうべきだ」つまり「全ての人は罪深い」という意味にもとれます。ディランは当然歌の説明はしていません。ただこの当時のディランはユダヤ教徒でしたから、旧約聖書からとったのかもしれません。のちにキリスト教に改宗します。トムペティはこの曲を得意としていて、かなりアップテンポでやっています。 ちなみに村上春樹は、「雨の日の女#241、#242」という短編を書いています。これ文庫には収録されていない。タイトルは当然ディランの曲から由来していますね。241番の手提げを持った化粧品のセールスウーマンが雨の日に現れる話です。「僕」はその女の事が気になり、警察に捜索願を出す話。文庫本には入ってないが全集には入っています。 2曲目はブルースです。このアルバムはロックアルバムと言われているが、わりとブルース調の曲が多いと思います。ビートルズよりもストーンズ風ですね。ディランがストーンズに影響されたわけではないが。ハーモニカはディランかな?結構うまいぞ。歌は下手だが。 3曲目は7分以上もある曲。ジョーンバエズの事をうたったとされる曲。ジョーンバエズと言っても二十歳ぐらいのみなさんは知らないでしょうが、アメリカの森山良子のような人です。60年代のアメリカを代表するフォークシンガーで、ディランとは同志のような関係でした。映画「ウッドストック」で「ジョー・ヒル」をうたった人と言えば分りやすいと思います。 これいつの写真だろうか?「ワシントン大行進」の時かな。63年頃は二人でよく共演していた。この頃はなんか同志というよりは恋人みたいな感じです。「ワシントン」の時はディランもバエズもまだ22歳のころです。20万人の観客の前で歌うわけですから、ちょっとしたカタルシスがあっただろうと思う。この日にマーチン・ルター・キングの「アイ・ハブ・ア・ドリーム」の演説がありました。公民権運動が最高潮になった日ですね。PPMも出演しています。俳優ではマーロン・ブランドーとかチャールトン・ヘストンとか。 4曲目は最初にシングルカットされた曲。これは高校生のころ英語の授業で習った「遅かれ早かれ」という熟語です。これはオルガンはアル・クーパーが弾いているのかな。「ライク・ア・ローリング・ストーン」と音が似ています。 5曲目「アイ・ウォント・ユー」です。ビートルズにもジョンの作った同名の曲がありますが、全く別の曲です。僕はディランの曲のほうが好きですね。当時ジョンは相方のマッカートニーと同様にディランを強く意識していた。ジョンはストーンズについては「半年遅れのビートルズ」と言っていた。 6曲目「メンフィスブルース・アゲイン」はかっこいい曲ですね。これは歌詞が長い。そこから出ていけない閉塞感を歌った歌。この曲は村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の中で、主人公が車の中で聴いている。女の子はディランを「まるで小さな子が窓に立って雨降りをじっと見つめているような声」と言っている。それってよくわからんぞ。すると主人公は「君は作家になれるよ」という。この小説では、レコード店で買ったテープを聴いている設定になっていますが、これは春樹の勝手に創作したテープです。小説の中でだけ存在するテープですね。それは、それで全然問題はない。この頃の春樹はディランをよく聴いていたようで、80年代中期の作品にはよく登場しまう。今では二人ともノーベル賞候補なんだそうです。 7曲目はディランがリードギターをやったという曲です。これもストーンズがやるようなブルースの曲です。これライブでもディランのリードギターでやって欲しいですね。盛り上がるのではないか?ギターはキース・リチャーズぐらいは弾けているぞ。 8曲目「女の如く」はディランの代表曲中の代表曲ですね。「コンサート・フォー・バングラディッシュ」でやって盛り上がった曲。これ映画「アイム・ノット・ゼア」でシャルロット・ゲンズブールが歌っているヴァージョンがありますが、それも、すごくエッチでいい。ディランは歌詞がいいと言われているが、実はメロディメーカーとしてもちょっとしたものです。でもディラン30周年コンサートでリッチー・ヘイブンスがやった「女の如く」は全く別な曲になっていました。いやこの人がやると全部この人のスタイルになっちゃう。僕はリッチー・ヘイブンスすごく好きです。 9曲目は「わが道を行く」です。これは完全なロックですね。しかし、ディランのヴォーカルはいつもの如くロックンロールしていない。「もうちょっとちゃんとやれ」と、熱血・スプリングスティーンに言われそうですが、ブルースはディランを尊敬しているからそんなこと言えません。坂道でも立ちこぎはしないのがディランです。 10曲目は「時にはアキレスのように」です。これもブルースですね。失恋の歌ですが、ディランは別にどうでもいいと言う歌い方をしている。その余裕がアメリカ人だなと思う。 11曲目はビーチボーイズみたいな曲。前述の30周年記念コンサートの時にジョージハリスンがやった曲ですね。ジョージは92年10月のころは半ば引退状態になっていて、最後のライブパフォーマンスだんじゃないかな。なんで地味なこの曲をやったのかは不明です。アメリカでは16年ぶりのライブ演奏だったらしい。ディランとジョージはやる気のなさで共感していたのではないか。このライブについてはまた改めて書きたいと思います。 12曲目は「ノルウェーの森」のアンサーソングらしい。そういう話を聞くと、ジョン・レノン・ファンの僕としては、「少しはディランもビートルズを意識していたのだ」とうれしくなりますね。リズム・ギターの感じは確かに「ノルウェーの森」に似ています。 13曲目もストーンズと似た感じの曲です。マラカスが入っているからそう感じるのでしょうね。初期のストーンズはボディドリーに影響を受けていたからマラカスを多く使っていた。これは解説を読むとシカゴブルース的なんだそうです。 14曲目はLP時代にはD面全部を占めていた曲。でも11分ですからもう一曲ディランにやって欲しかった。やはりアルバム片面15分以上が相場ですからね。CDになってからは、そういうせこいことは全く気にならなくなりました。 はい、アルバムを改めて聴きなおして思うのは、確かに素晴らしい作品だということです。このころのディランは才能が泉のようにあふれていたのでしょう。それが故に傲慢だったわけですが、それがかっこいいなあと、ディラン好きでない僕も思います。 このアルバムが発売されてツアーが終わった直後の66年7月にウッドストックで、トライアンフ500にのったディランは突然車輪が止まりオートバイから放り出されるというかっこ悪い事故を起こしまして、公の場から去っていく。首の骨を折ったという説もあるけど、おそらく仮病でしょう。ビートルズもフィリピン公演を最後にツアーをやめてしまう。ここまでがディランの第二期だと言えますね。ここからディランは地下室に潜るのですが、それはまた別の話。 |
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